2024/09/17 00:24
Producer's Story
浅舞酒造株式会社
▸お話をお伺いした、浅舞酒造株式会社 柿﨑社長

【純米酒へのこだわり】
1917年に創業した浅舞酒造さん。
当時から使用されている「天の戸」という名前は、創業者である柿崎宗光氏が
「天の戸は静かに明けて神路山 杉の青葉に日影さすみゆ」
という古歌から引用して命名されたそうです。
天の戸とは天照大神の逸話で知られる「天の岩戸」のことで、
ラベルなどに勾玉 (まがたま)が使用されているのもここが由縁なのです。
▸浅舞酒造の外観と、勾玉の形に彫られた柱

創業からしばらくの間はたくさんの種類の酒づくりを行っていましたが、
2011年から、すべて純米酒の仕込みへと切り替えました。
これは一気に切り替えたのではなく、少しずつ変えていったのだそうです。
理由は、地元のものを使って酒づくりすることへのこだわり。
吟醸酒などに含まれる醸造アルコールは、どうしても地元以外のものを使用してしまうことになります。
浅舞酒造さんの蔵内には「琵琶沼寒泉」という湧水があります。
これは、奥羽山脈から皆瀬川や成瀬川を伝って流れ込んだ伏流水が湧いたもの。
そして米作りの盛んな横手市では、たくさんの米が豊かに実ります。
この環境を活かし、地元産にこだわった酒づくりに変化させていったのです。
▸蔵内に湧く「琵琶沼寒泉」の仕込み水

【和気あいあいとした酒づくり】
柿﨑社長からのご提案で、今年の冬に蔵見学をさせていただきました。
まず、私たちが事前に勉強をしたのが酒づくりの工程です。
これまで全くの素人だった私たちには、日本酒がつくられる工程がとても新鮮でした。
蔵の案内は、若くして浅舞酒造の酒づくりを一任されている佐々木翔太さんに行っていただきました。
まずは酒米が蒸される「窯場」を見学。
ここでは、精米と洗米が行われた米を大きな窯で蒸す工程が行われています。
ちなみに、酒づくりに使われる米は、なぜ「炊く」のではなく「蒸す」のでしょうか。
これは、米の外側は硬めに、そして内側を軟らかめにすることで麹菌が内側に進みやすくなり、発酵を促進する効果があるためです。
この蒸米の良しあしが、良い酒づくりに大きく影響します。
蔵人のみなさんが、蒸しあがった米を一口食べたりしながら賑やかに取り出している風景が印象的でした。
▸米を蒸す大きな窯と蒸しあがった米

次に見学させていただいたのは「製麹(せいぎく)」の作業。
蒸しあがった米に種麹を振りかけることで米に麹菌を繁殖させる工程です。
浅舞酒造さんで使用されている種麹は秋田県の老舗麹メーカーの今野商店さんから仕入れ、自社で培養をおこなっているもの。
美味しいお酒には欠かせない麹へのこだわりも感じられました。
▸種麹を振りかけている様子

麹菌が振りかけられた米は、そのまますぐに麹室へ運ばれます。
ここでの徹底した温度と湿度の管理によって、麹が米に繁殖していきます。
佐々木さんは長年の経験から、米を触るだけでどういう状態かが分かるのだそう。
ここでも蔵人のみなさんと冗談を言い合いながら、楽しく酒づくりをしている姿にほっこり。
▸麹室での作業風景

続いて日本酒づくりには欠かせない「酒母」を作っている酒母室を見学。
アルコールを生み出すための酵母をたくさん培養させるために必要なものです。
その後は醪(もろみ)づくりである「仕込み」の工程を見学させていただきました。
これまでつくってきた材料をタンクの中で合わせて仕込みながら発酵させていきます。
「酒づくりは微生物が行う、人間はそれを補助しているだけ」
という佐々木さんの言葉が印象に残りました。
浅舞酒造さんや秋田県に限らず日本全国に存在する酒蔵一つ一つにそれぞれの酒づくりの歴史があり、蔵に住み着いた酵母が自家製の酒をつくる。
微生物と人間が息を合わせて生み出すのが、日本酒というお酒なのだとこの見学を通して学ぶことができました。
▸仕込みの作業風景

そして最後に見学させていただいた工程が「搾り」。
浅舞酒造さんでは、全量”古式槽(ふね)しぼり”で搾りの工程を行っています。
これはその名の通り船の形をした「槽」と呼ばれる細長い大きな容器に、
もろみを入れた袋を一つ一つ何層にも重ねていき、押し蓋で圧力を加えて搾るものです。
この槽を使った工程も浅舞酒造さんの特徴で、非常に時間のかかる工程ではありますが
昔ながらの酒づくりを守り、現代にも活かし続けています。
▸仕込みの作業風景

すべての工程の中で、佐々木さんや蔵人のみなさんが笑顔で酒づくりを行っている様子が印象的でした。
「酒をつくる人間たちが楽しくやっていると、酒もいいものができる」
という佐々木さんの言葉を体現している蔵の雰囲気がありました。
【日常で飲んでもらえる酒に】
「どんな方に、どんなシーンで浅舞酒造さんの酒を飲んでほしいですか?」
と柿﨑社長にお聞きすると、
「嬉しい時でも、悲しい時でも、人生の節目の時にも。飲んでいただける方の思い出のそばにいるような、日常的に飲んでもらえる酒づくりをしていきたい。」
と仰っていました。
浅舞酒造さんの日本酒は、まさに普段から飲みやすく、親しみやすい銘柄が多いように思います。
酒づくりに恵まれた環境と、昔ながらの工程を守り続けながら、微生物と蔵人が楽しく酒をつくっている場所であること。
それが天の戸ブランドの美味しさのヒミツでした。
▸地元の方が、ペットボトルを持って湧水を汲みに来ます

▸自社栽培している酒米の田んぼ

▸浅舞酒造株式会社 外観

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【浅舞酒造株式会社】
代表取締役:柿﨑 常樹
所在地:秋田県横手市平鹿町浅舞字浅舞388番地