2025/05/12 15:46

Producer's Story

株式会社杢


▸お話をお伺いした、株式会社杢 松橋真美さん、阿部円香代表、倉田健太郎醸造長

【CAMOSIBA】


秋田県横手市十文字町、ここは羽州街道と増田(浅舞)街道が交差する地。

かつて、ここは一面の草原だったので迷ってしまう旅人も。
そんな旅人たちも救うべくして建てられた猩々さまの道標。

そこに一軒の家を建てられ茶屋を営む者が出てくると、やがて家々が建ち始め交通の要衝として栄えてきました。

来る者、拒まず。

十文字町は、旅人と地の人が交流するフレンドリーな町である気がします。

そんな十文字町を体現するかのような宿「Hostel&Bar CAMOSIBA(カモシバ)が2017年にオープンしました。

こうじ屋の家に生まれた、代表の円香さん。
大学卒業後にUターンし、「人と人とが出会い『醸し出す』ような場所にしていきたい。」との想いで、この場所を作りました。

海外経験豊富な円香さんのもとには、国内外問わず、色んな場所から色んな人が訪れます。また、地元の方も集う「夜の憩いの場」にもなっていて、まさしく旅人と地の人が交流する場として愛されています。

Hostel&Bar CAMOSIBA(カモシバ)の外観


【二人のイブ】


円香さんと、立ち上げメンバーの松橋さんはお酒が大好き。

同じ横手市の大雄町では、ビールの香りや風味に大事な「ホップ」が生産されていることから、いつか自分たちの「ビールを作りたい!」と思っていたそうです。

一方で、CAMOSIBAに集う人々の中には、果樹農家さんがたくさんいます。
そう、ここ十文字町はさくらんぼで有名な町。そしてお隣の増田町や平鹿町はりんごで有名な町です。

横手市が位置するのは、日本で一番大きな横手盆地。ここでは盆地特有の寒暖差により糖度の高いフルーツが様々獲れます(前述のほか洋梨やスイカ、すもも等)。

この地の良さを活かしたお酒を...。
でも、やっぱりビールもいいな...。

色々考えている中で、お二人ある日ポートランドの美味しいお酒と出会います。

そのお酒は「ハードサイダー」と呼ばれるもの。アメリカではリンゴジュースを「サイダー」と呼ぶことから、ソフトドリンクに対して区別するためにアルコール入りのリンゴのお酒を「ハードサイダー」と呼ぶそう。

ハードサイダーは、原材料がリンゴ100%のものから、クラフトビールのようにスパイスや茶葉、他のフルーツなど副素材と醸造するものまであり、まさに「自由なお酒」。

ホップもフルーツもある横手には、バッチリのお酒です。

このお酒に出会いピンときて、すぐに現地に飛んだそう(フットワークの軽さに脱帽です)。
ポートランドでは、ハードサイダー専門のタップバーもあるほどクラフトビールに並んで人気なのだとか。人々がハードサイダーを通じて楽しんでいる姿に魅了されたそうです。

その後、改めてポートランド(本番アメリカのサイダリーBauman's Ciderにて約1ヶ月滞在)や東北のブリュワリーで修行。

委託醸造から始め、ついに2023年7月に自社醸造をスタートしました。

リンゴといえば、アダムとイブの話は有名ですね。

円香さんと真美さん、お二人の女性=イブが「はいどうぞ、飲んで~!」とアダムに対して薦めるイメージで、OK,ADAM』というブランド名になりました。

女性がお酒を飲むのは昔ほど珍しいことではありませんが、アルコールってまだまだ男性のイメージが強いですよね。
そんな中でも、女性も男性に薦めたくなるような美味しいお酒を届けたい。という想いが込められています。

▸ポートランドでの様子

▸原料の横手市産りんご

【醸造長】


醸造長の倉田さんは、起業支援会社の大学生インターンとしてCAMOSIBAができるときにDIYを手伝ったのがきっかけ。

大学卒業後は他の企業に就職されましたが、お酒が大好きなので、いずれお酒の仕事をしてみたいと考えていたそうです。

そんなある日、ハードサイダーと出会いました。

美味しい!りんごを中心として様々な副原料を混ぜる自由な気風が面白い。

そして、これならビールが苦手な方も飲みやすい風味だし、アルコール度数もそこまで高くないので、みんなで楽しく飲めるお酒だなと思ったそう。

時同じくして2人のイブは、横手でハードサイダーを醸造すべく、奔走中。
偶然が重なり(必然?)、倉田さんもジョインすることになりました。

▸倉田さん



【ハードサイダー】


さて、ハードサイダーはどのように作られるのかご説明します。

簡単にいうと、下記図の通り「①収穫・選果・洗浄」→「②搾汁」→「③ブレンディング」→「④酵母添加・発酵・澱引き」→「⑤貯蔵・後熟・瓶詰」→「⑥出荷・乾杯」という流れになります。

▸醸造所兼タップルーム(CIDERY TAPROOM)の店内に貼られていた製造工程説明図
▸⑤瓶詰の様子

自由なお酒なので一般的な工程があるわけではないそうですが製造で特に工夫している点ををお伺いしたところ、なるべく「りんご感」が出るように発酵温度を低めにしているのだそう。

OK,ADAMさんの商品ラインナップの中でも、早生ふじの“やたか”をたっぷりと使用した「ORIGIN(オリジン)」は低温発酵&発酵後に果汁を加えるという製法により、特に「りんご感」を味わえる商品です。

OK,ADAMさんのハードサイダーを初めて飲む方には、是非飲んでほしいですね!


ORIGIN(オリジン)


【試行錯誤の日々】


また、横手はフルーツが盛んではありますが他の地域に比べると少量多品種な土地。

仕入れの面で苦労も多いのではないかと思いお伺いしたところ、今のところは醸造開始から2~3年と継続して卸してくれる農家さんや、新しく畑を借りたから一緒に何かやろうと言ってくれる農家さんもいるそうで。

CAMOSIBAからの縁がこのような形で繋がり、常連農家さんから愛されている様子が垣間見えるお話しでした。

ちなみに、時には意図せず原材料が突然手に入ることもあるそうで。

そうなれば他に何を入れて、どのような味にするか、みんなで緊急会議をします。
経験を頼りに(時にはネットの情報も頼り)、最終的には倉田醸造長が構成を考えます。

「常にチャレンジですが、手探りで考えながら試行錯誤している状況が楽しい。」と倉田さんはおっしゃいます。

これまでにOK,ADAMさんでは様々な商品を生み出してきました。

桃を使ったもの、スイカを使ったもの、梅を使ったもの...。
りんごを一つとっても、酸味が強めの品種や甘みが強い品種など様々です。

また、材料のほかにも酵母を変えたり、発酵樽を変えたりとレシピの幅は無数にありそうです。

倉田醸造長は、新しいレシピをどんどん書いていきたい!と意欲満々。

今後もお酒の楽しみを広げてくれそうなOK,ADAMさんの商品には目が離せません!

お酒を通して、その場に居合わせた人たちが仲良くなる。
みんなで楽しめるお酒を造っていきたいとのことでした。


▸醸造所兼タップルーム(CIDERY TAPROOM)
▸店内壁
株式会社 杢 の商品はコチラから↓
【ハードサイダーの世界へようこそ】OK,ADAM ORIGIN -オリジン-[3本セット]

■【ハードサイダーの世界へようこそ】OK,ADAM ORIGIN -オリジン-[6本セット]

【株式会社杢】
代表取締役:阿部 円香
所在地:秋田県横手市十文字町曙町7-3

【文責:奥良美】